日本の広告業界では1990年代まで長らく比較広告がタブーとされてきました。日本では比較広告が消費者の反発を買いかねないという理由もあったようです。かつてはペプシコーラがコカコーラをこき下ろすアメリカ国内向けの広告がすごい、などと話題になったりもしたものです。

しかし2000年代以降比較広告が制作されることが多くなり、けっして特殊なものや奇異なものとして受け取られることはなくなりました。消費者にもすんなり受け入れられたように見えます。比較広告が普及した背景にはインターネットの影響が大きいと考えられます。

テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といった4大マス媒体向けのマス広告では比較広告が最後までタブー扱いだったように記憶しています。

マス広告を制作する広告代理店は、日本では同じ業種で複数のクライアントから受注することが一般的です(もちろんチームは分けているはずですが)。

しかし海外の広告代理店では、ひとつの業種につきひとつのクライアントからしか受注しないという商慣習があるそうです。

おそらくこの違いは日本の広告代理店が節操がないからではなく、日本ではマス広告を扱える広告代理店が少ないからだと思われます。媒体を限られた社数の大手代理店が寡占しているからです。

その背景はさておき、社内競合があるからこそ比較広告ができなかったのだと思います。比較広告をつくろうものなら、比較された側のクライアントからは猛反発が予想されます。「あの広告作ったのおたくの会社のチームだよね?」

けっして消費者の反発が理由ではなく、社内と対クライアントの反発という事情で比較広告は自粛されてきたのが実態だと思います。

2000年代に家庭でもパソコンとブロードバンドの普及により、インターネット広告の市場が生まれました。いまや雑誌はおろかラジオや新聞の出稿額を超える規模に成長しています。

インターネット広告は、旧来の広告会社ではないところが主導権を持っていたために、比較広告に抵抗がなかったと思われます。また黎明期には出稿するクライアントも少なく業種かぶりがないために、大胆な広告戦略を展開できたのでしょう。

またインターネットで一気に伸びた通販の影響も大きいように思います。リアル店舗でも同じことですが、販売においては最後の一押しがないと商品は売れません。購入を促す「クロージング」といわれるものです。

リアルの接客であれば顧客との会話の中で顧客の隠れたニーズを探って、それを突く「決めのセールストーク」で購入を決断させることができます。

しかし、ネット通販ではそのようなインタラクティブな接客は困難です。そうなるといまこの瞬間に購入を決断させるには比較広告が有効になります。

とくにネット通販の場合は買いたいものが決まっていて、それを検索しながらさまざまな店舗を比較しています。だからこそ「このネットショップで買うと、他で買うよりもこんな利点があります」と比較広告を行う必要があるのです。

これはリアルでしか存在できない飲食店やサービス店舗においても同じようなことが起こっています。比較サイトやポータルサイトの普及で事前にネットで下調べして店を選ぶ時代になったからこそ、比較広告が求められるようになっています。

そうしたインターネット特有の購買行動が、広告主にとって比較広告を求める原因となったのです。

ますますインターネット通販が広がり、ネットで比較できる時代だからこそ、景表法や商道徳の観点から節度を持ったうえでスマートな比較広告を追求する必要があるといえるでしょう。

インターネットで比較広告がタブーではなくなった
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