茨木市長選挙から2週間経とうとしているのに茨木市長選挙の話をします。新型コロナウイルスのせいで忙しくて、いまさらになります。
本業も、ボランティアも、新型コロナウイルス対応で忙しいのです。ラジオショッピングは収録ができなくなってスケジュールの変更に追われました。
また、茨木広告宣伝舎のオフィスがあるビルの管理者としても対応すべきことがあります。いよいよ新型コロナウイルスが、どこで発生してもおかしくない状況になってきました。
2月ごろから新型コロナウイルス対応は重ねてきましたが、ここ数日は、万一感染者が発生した場合にビルとしてどのように行動すべきかという方針を決めるのに追われています。管理会社がとても使えないので、自分たちでやるしかないのです。
パンデミックなんて100年ぶりのことで、ほとんどのひとにとっては初めての経験です。だから管理会社も対応できなくても仕方ないのですが、そもそもやる気がないのです。
脱線して愚痴になってしまいました。
本題に戻りますが、茨木市長選挙の結果は、さもありなんという結果でした。
薹の立った新人さんは、特に応援もしないですし、情勢的に当選できないだろうと思っていたのですが、茨木のあり方に一石を投じてくれると期待していました。
新大阪との位置関係で茨木など北部大阪が発展できるという見方はまったく同感で、茨木広告宣伝舎も茨木に加えて、東三国など新大阪近辺に投資をしています。
上から目線で申し訳ないのですが、優秀な方なのに、戦い方が超へたくそでがっかりしました。一石を投じるどころか、多石を投じられていました。
新人さんと現職さんは、大きくいうと産業振興優先か福祉優先か、という政策軸があるように思います。もっと政治学的にいうと大きい政府(市政)か小さな政府(市政)か、という対立軸です。アメリカでいうと保守党的か民主党的かということです。
選挙というのは政治屋さんにとっては顧客獲得競争ですから、ある程度は人気取りの媚びは入ります。それでもやはり政策の優先順位で差が見えてきます。
新人さんは、駅前再開発促進や企業誘致など産業振興が優先順位が高くなっていました。それに対して現職さんは、阪急の駅前に救急病院を誘致するとか、中学の全員給食実施など、どちらかというと福祉優先でした。
これだけ軸がしっかり見えているのに、なぜか新人さんはそれを前面に出さずに、現職批判に終ってしまいました。だから現職さんも、福祉にも目配りしてきましたよ的な実績アピールだけで当選できたのです。
もちろん福祉を軽視する必要はありません。でも今の茨木市は地の利も生かした産業振興の流れのうえにあるのです。
人口も維持されていて、比較的高齢化が緩やかなのは、新たな住人が流入してくるからです。それも住宅の一次取得者のような層です。
住宅の一次取得者の多くは子育て世代です。親の通勤の便だけではなく、子の教育も考えて住まい選びをしますから、教育に力を入れているとされる茨木市は選ばれることも多いのです。
この流れは福祉に力を入れればますます加速します。しかしそれでよいのでしょうか。ベッドタウンだけの都市になってしまえば、日本社会全体の高齢化とともに、街が一気に老いてしまいます。
ここ20年ほどは茨木の中心市街地の商店がなくなるとマンションや住宅になってしまいます。一時的に人口は増え、比較的若い人が入ってきます。しかしこれらの人たちが20年後には年金生活者になっていきます。
そもそも持ち家派が流入すると、短期的には市の財政にマイナスです。
住宅ローン減税を活用されると、10年間はローン残高に応じて所得税から控除されます。さらに多くの場合で所得税は0になり、控除しきれなかった分は住民税から控除されます。つまり国税のみならず地方税も減るのです。
それなのに人口だけが一気に増えると、学校を増やしたり、上下水道を建設したりとコストだけが増えるのです。
タワマンブームで人口が急増した大阪市の西区・福島区あたりでは小学校が新設されています。でも、それは10年ほどで廃校になる可能性もあります。
大阪市の場合は、商業など産業も盛んなので、これでも勘定があいます。
しかし茨木市の場合、コストがアップするのに当面税収は期待できず、さらにこうした新住民は、日常の買い物、特に食料品・日用雑貨以外は梅田で済ませます。
せいぜい地元で買い物をするとしてもイオン茨木やエキスポシティ、家電量販店などのカテゴリーキラーくらいでしょう。そもそもエキスポシティは茨木ではありません。
もっと産業、ことに商業を活性化させないと茨木の活力は失われます。人口の新陳代謝がなくなってしまいます。ただのベッドタウンになればますます企業などは市外に流出します。残る産業は地の利を生かせる物流系だけになるかもしれません。
若者や現役世代もつまらない街からは逃げ出すかもしれません。梅田が近いからまだベッドタウンとしては恵まれていますが、もし商業地区が遠くて、産業がなければオールド・ニュータウンになってしまい、限界集落のようになります。
茨木の商業を復活させるには、事業所を誘致するしかありません。会社があれば、ランチや飲み会の需要が生まれます。そうすれば飲食やコンビニが増えます。
飲食が増えれば…というふうに、どんどんいろんな商売が再び集まり始めます。帰りに買い物をしようとなれば、エステやファッションのお店もできるかもしれません。
働く人が、さらに働く人を呼ぶのです。それで職住接近をしたいという人がでれば、ベッドタウンとしても潤います。
そうした意味で、新人さんは、若干ハードウェア(ハコモノ)に偏りすぎているように思いますが、産業振興を重視していました。
きちんと政策を訴えればいいのに、なぜひたすら現職批判をしていたのでしょうか。
新人さんを連れてきたという代議士さんの戦略ミスのような気がします。というよりも本当は当選させたくなかったんじゃないかとも思っています。
じつのところ代議士さんは党本部から新人さんを担ぐように指示されたのではないでしょうか。そして官僚として大先輩の新人さんは、担ぐには重い神輿だったんじゃないでしょうか。だからあえて自爆させたのではないでしょうか。
というのも、今回は珍しく代議士さんからハガキが来ませんでした。選挙のときはいつも、おそらく高校の同窓会の名簿からたどってハガキが来ます。
(年齢が離れている見知らぬ先輩にハガキをもらったからといってホイホイ票を入れるほど甘い後輩ではないのですが…。)
だからじつはそんなに力を入れていなかったんじゃないかと思います。ひょっとしたら高校の同窓会が、オレオレ詐欺に使われているという理由で同窓会名簿の発行をやめてしまったのが原因かもしれませんが。
なにはともあれ、当選しなくてももう少し、きちんと争点を明確にしてもらうことが茨木のためだったと思います。