ヤマト運輸が正式に運賃の値上げを発表しました。通販など大口顧客との価格交渉も進めて年間で8000万個の荷物を減らすようです。また一部配達時間帯の廃止なども実施するようです。しかも他社も追随して値上げする動きもあります。
個人的には本業の通販で物流をヤマトグループに依存している部分もあって、値上げはあまり歓迎できません。
受注データをヤマトシステム開発に渡して、送り状を印刷してもらって、取引先に送ってもらうというシステムを構築しており、他社への乗換えが難しいのです。
他方で地元密着・地域密着のビジネスを展開されている北摂地区の会社やリアル店舗を対象にサービスを提供しているので、そういった顧客のみなさんにはチャンスがめぐってきたかもしれません。
ヤマト運輸が値上げに踏み切った背景には人不足による人件費の上昇もありますが、もうひとつはAmazonです。
2013年に運賃交渉がまとまらず佐川急便がAmazonの配送から撤退しました。それを引き受けたのがヤマト運輸でした。当初はヤマト運輸の経営陣もAmanzonの提示する運賃でも設備や人員の稼働率が向上してペイすると読んだのかもしれません。
しかし通販業界、特にインターネット通販の急成長に比例して爆発的に増える荷物に耐えられなくなったという側面があります。
今後の運賃交渉がどのように落ち着くのか予想できませんが、ていどの差こそあれどスケールメリットを武器に格安運賃を享受してきた通販会社が逆襲をうけることになりそうです。Amazonですらいまの運賃体系を維持できなるかもしれません。
たとえば送料無料になる購入金額が2000円以上から5000円とかになるかもしれません。すべての送料が無料になるAmazon Prime(プライム)も年会費3900円が1万円近くになるかも知れません。プライムビデオなども見られるからそれでもかまわないという人もいるかもしれませんが。
ただ多くの人は運賃に敏感です。いままでは運賃無料だからと近所の店でも売っているものですら通販で購入していた人たちの流れが一気に逆回転する可能性はあります。
自宅の近所で購入することが多いような商品(最寄品)は確実に商機到来です。せっかく戻ってきた顧客を逃さないように品揃えやサービスを見直すべきです。
近所への無料配達というのも差別化戦略としては有効になるかもしれません。ディスカウントの大型店舗が増える中で生き残っている街の酒屋さんは配達をしているところが多いようです。
特に高齢化が著しいので、種類だけではなく水や米、その他の惣菜なども含めて品揃えすることで、高齢者にとってのネットスーパー的な業態として戦っている店もあります。
場合によっては商店街単位で配達部隊を雇ってネットスーパー化するという手もあるかもしれません。