ここのところ連日メルカリ(mercari)方面がにぎやかです。
一回りして「ギリギリ・サーフライダー」が再評価されているのかもしれません。っていうかいまだにどちらがHALCAでどちらがYUCALIなのかよく分かりません。っていうかそれはHALCALIか。
mercariはご存知の通りフリマサービスです。つまりフリーマーケット(蚤の市)のように個人間売買を媒介するサービスです。中にはプロも混じっているかもしれませんが基本的には個人が個人に不要になったものなどを売るということです。
このような個人間取引は、企業間取引のB2B(BtoB)とか、企業が個人相手に取引を行うB2C(BtoC)と比較してC2C(CtoC)と呼ばれることが多いようです。
このmercariが連日ニュースで取り上げられているのは、奇妙な出品物が横行しているからです。おそらくその発端は、現金(紙幣)を額面よりも割高に売っていたということがネットで話題になったことです。
クレジットカードのキャッシング枠を使い切って借金をできなくなった多重債務者が、クレジットカードのショッピング枠を現金化するためにこれを購入してクレジットカードで決済するためだと推測されます。
余談ですが、新幹線などの格安チケットの多くもそうした人たちがショッピング枠の現金化のために購入した回数券を格安チケット業者に供給しているようです。
とにかくこれがネットで話題になるとメルカリはすぐに現在流通している紙幣や貨幣を出品禁止しました。すでに流通していないものはマニアの収集対象のため、正当な取引とみなすようです。
そうするとこんどは紙幣を折り紙にして、創作物として販売する人が現れました。いろいろ考えますね。でもこれも出品禁止になりました。
もうこうなるといたちごっこです。パチンコの特殊景品(換金することが前提の景品)など換金性の高いものを額面よりも高く売る人が現れました。
そのほかにもマネーロンダリングとか経費の不正請求に使うと見られる領収書やレシートの出品も報道されて、それも出品禁止されました。
今日は不妊に悩む人に「妊娠菌」の付いた米を売るという事例がニュースになっていました。なんでも妊娠菌の付いた米を食べると妊娠するそうです。もちろん科学的根拠は皆無です。っていうかぜったい詐欺です。
もちろん出品禁止になりましたが、お守り的なものもあるので極端に高額でない限りそれらは規制しないそうです。高額だと霊感商法に該当するということのようです。
そのほかにもワシントン条約などに抵触しかねない動物の剥製の出品も報道されていました。
やはり個人間取引というのはいろいろ危なっかしい部分があるように思います。個人間取引ということで多くの法的な規制が及ばなくなる部分もあるからです。
もともとヤフオク(ヤフーオークション)などでもこうした事例は見られていましたが、アプリもあってより気軽に個人間取引に参入できるメルカリ(などのフリマサービス・フリマアプリ)の登場でこうした問題が顕在化したのでしょう。
インターネット(ウェブ)は、基本的にいろんなヒトやモノを直接結び付けます。いままで間に入ってたヒトやモノ、そしてそれにまつわるカネも含めて中抜きにするということです。
商取引においては商社(卸)が、場合によっては小売も飛ばされて中抜きになっています。C2Cの台頭はついに小売すらも完全に飛ばしたということです。
メーカーが自分たちでメルカリに出品するというB2C的なC2Cであれば問題は少なそうですが、個人がどこかで仕入れてきたりしたものを出品するという純粋なC2Cであれば専門家のフィルターを通すことなく商品が取り扱われるということです。
そこには販売責任はありません。食べ物や衣料品など身につけるものなどで健康被害が出ても、売り手は責任を負えない可能性が高いのです。
製造物責任(PL)でメーカーに責任追及はできるでしょうが、直接メーカーに連絡することになるでしょう。ただし保存状況が悪くて品質の劣化があったというような場合、それはメーカーでは責任を負わないことでしょう。
それ以外にも先述の通り、詐欺的な商品なども掴まされる可能性があります。大部分の取引には問題はないのでしょうが、こうしたリスクを消費者は認識しておく必要があるでしょう。
逆をいうと、あらためて小売や商社といった仕入れや販売に責任を持てるプロが見直される機運になるかもしれません。
ところで、メルカリが連日ここまで炎上するのにはワケがありそうな気もしています。
ひとつは経費節減で取材費に制限の多いマスメディアが、ニュース不足になるゴールデンウィークに外に出ることなくネットサーフィンだけでニュースになるメルカリを漁りまくっている気もします。
クルーを引き連れて行楽地に出かけたり、渋滞を取材するためにヘリを飛ばさなくてもいいのですから。
もうひとつはメルカリ自身による炎上マーケティングという見方もあります。問題のある出品が存在して、いたちごっこであってもすぐに対応することで責任ある運営者だとアピールもできます。この線は正直ありえないと思いますが。