百貨店の三越伊勢丹が札幌・新潟・静岡などの5店舗のリストラを発表しました。業態転換や店舗統合、閉店も見据えているようです。
昨年は千葉や多摩センターの三越の閉店、松戸や府中の伊勢丹のリストラも発表しており、急速に事業の再構築を迫られている格好です。
この動きはインバウンドの需要が急減しているというのもありますが、実は爆買の売上が剥がれ落ちてここ10年ほどの流れに戻っただけです。
それは(テレビ通販なども含めて)ネット通販の台頭によるリアル小売業の侵食です。そしてついにネット通販のバイイングパワーが日本最強の百貨店・新宿伊勢丹を凌駕しはじめたのです。
百貨店で扱っている商品はマーケティングの用語でいうと買回品や専門品です。こうしたものは最寄品に比べネット通販との競合が激しい分野です。
通販には送料というハンデがあるので、最寄品はスーパーやドラッグストアで購入したほうが、欲しいときに必要な量を安く買えるからです。とくに日持ちのしない生鮮食品などにその傾向は顕著です。
しかし百貨店の扱う買回品や専門品は、その日必要ということはまれで、むしろじっくり選ぶためネット通販も選択肢に入ってくるのです。買回品という点で家電がいつのまにか百貨店ではなく家電量販店で購入するのが当たり前になった流れと似ています。
しかし百貨店はブランドを囲い込んでいるから、ブランド物や高級品は百貨店で買うというのが最後の砦でした。しかしそれがついに崩れ始めているようにみえます。
ブランドもネット通販に乗り出してきているので、もはや百貨店に卸すよりも顧客に直販するほうに傾きつつあるのです。
新宿伊勢丹はとくにファッション分野で多くのブランドを囲い込んできました。それらが直販をはじめた影響がでているのです。
そしてネット通販のショッピングモールや、ネット通販全体のバイイングパワー(平たく言うと品揃え)が新宿伊勢丹を凌駕しはじめたのです。
こうした時代に茨木や高槻、摂津、吹田など北摂の地域密着のリアル店舗がどう対応すべきなのか、そしてネットを逆手にとって商売を広げる方法を考えておくべきでしょう。ネットでうまくやれば局所戦では新宿伊勢丹に勝てる時代なのです。
百貨店や大手ショッピングモールはその売上規模ゆえに手配数が多くない商品は扱いにくくなっています。だからマスプロダクション(大量生産)の商品が多くなります。
しかし地域密着のビジネスであれば手配数がすくなくても販売できます。手間ひま惜しまずたとえば手作り品や希少品を集めていけばニッチで商売になる可能性があるのです。