来年が市制施行70周年ということで、茨木市は2月にブランドメッセージやロゴを策定しました。いわゆるブランディングとかシティプロモーションというヤツです。
ワークショップなどを重ねて3案を取りまとめて、最終的に市のホームページ(ウェブサイト)や茨木市内の公共施設などで投票を受け付けて最終的に決定したそうです。
地方自治の理念や市民参加という点で、ボトムアップ的にコンセプトを作り上げたことや、その選択を市民の投票で行うことは尊いことだと思います。しかしなんでも市民参加でやればよいかというと、それも違う気がします。
本来なら専門家に委ねるべきデザインの選定を、最終的に市民の手に委ねたのはむしろ行政による責任の放棄だと思います。
先月くらいから茨木市の中心市街地の大通りにこのブランドメッセージのフラッグを掲げ始めました。これを見ていると2月に感じたことがよみがえってきました。
この「茨木市ブランドメッセージ(ロゴ)」は全体的に「線が細い」と思うのです。存在感がないのです。色も薄く、コントラストに欠け、フォントのウェイトも細いのです。ある意味大阪と京都の狭間で存在感の薄い茨木市を象徴しているのかもしれませんが。
そしてフラッグとして掲げられたことでその懸念は見事に的中しました。
(写真をクリックすると拡大します)
街中に掲げられたときに目立たないのです。上の写真はハローワークの辺りで撮影したものです。
手前のフラッグは目に入りますが、奥のほうにあるものや、向かい側の歩道に掲げられたものはまったく目に入りません。
こうしたフラッグは街中にある程度の密度で反復して掲げることで、インパクトを持ち印象に残るものです。でもこの存在感のなさでは反復として意識されません。
晴れたりしていると、黄色い薄く細い斜線はほとんど見えなくなります。
その欠点を分かったからなのか、市役所に掲げられた懸垂幕ではかなりデザインに「寄って」線を太くしています。ひょっとすると色も濃くしているかもしれません。
(写真をクリックすると拡大します)
しかしこの線の太さには、オリジナルのものが持つ繊細さは感じられません。
「茨」という字に「次」という字を見い出だして、「茨木には次がある」と言い切ったコピーは秀逸だと思います。茨木市は自然に恵まれているというのであれば、草かんむりにもクローズアップするべきでした。
賛否はあるでしょうがバラを市の花にしているのですから、たとえば「次」をバラ色にして、草かんむりを緑色にするとかできたのではないかと思います。
とにかく、屋外にも展開するデザインであれば、もっとコントラストをはっきりすべきだったと思います。本の装丁とかならむしろいいセンスだとは思います。
プロの選定であればそうした欠点を指摘できて多少の修正はできたしょう。市民参加はべつのところでやればよかったのです。
今日の茨木の天気
朝から快晴で気温も上がりました。さほど蒸す感じはありませんでした。